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2019.07.07

"勢い vs. 慎重さ"

Appleのマーケターとして知られるGuy Kawasakiさんのスピーチの中にこんなフレーズ がありました。

『Don’t worry, Be crappy』
これは、あの名曲のフレーズ『Don’t worry, Be happy』を捩ったもので、Crappyでもいいから、心配ばかりせずとにかくリリースしてしまおうという意味が込められています。

当然、Crappyなものを作ろうとすす めているわけではありません。始めから完璧なものなんて作れないし、完璧を求めるゆえにいつまで経ってもリリース出来ず、結局はタイミングを逃してしまった、或いは他社に先を越されてしまった、という結果にも繋がりかねないのだから思い切ってスタートさせちゃおう、という考えです。

iMac、iPod、iPhoneなど、画期的なアップル製品 も、ファーストジェネレーションにはバクや不具合がつきものです。冷蔵庫や自動車などの革命的な製品には、リリース時には必ず何らかの欠陥があり、ユーザーの声を取り入れながら改良を重ねていくものです。

Webページやアプリの開発においても、リリース時には勢いと慎重さの両方が問われますが、やはり最終的には多少の思い切りも必要になります。とはいえ、訴訟大国であるアメリカでビジネスを行う以上、その勢いがサービス全体、ひいてはビジネス全体の命取りとなってしまうリスクも秘めています。

最近、モバイルサイトでメニューアイテムをカスタマイズしてオーダー出来るオンラインシステムを開発しました。クライアントさんも完成したWebオーダーシステムを気に入って下さり、リリースを目前に控えた段階で、やはり訴訟のリスクを考えると今スター トするのがリスキーと判断、リリースを先延ばしすることに。石橋を叩いて渡るクライアントさんと、とにかく突っ走るクライアントさんと、ビジネスセオリーは会社によって異なります。

特にこれまで前例のあまりないものをリリースする場合はとかく心配がつきもので、その気持ちもよくわかります。

しかし開発に携わった者としては、何かトラブルが起きたらどうしようと思うより、早くリリースして実際に活用して欲しいという思いの方が強いというのが本音です。

できる限りリスクを回避し、問題が起こらないように努めても、実際に問題やクレームが起こるのは、システムそのものではなく、実際の担当者の回答が間違っているとか、従業員の対応が気に入らないとか、人的要因だったりすることも多いものです。

新しい事業を進める場合において、ある程度のリスクをとる覚悟は必須条件ですが、加えてとにかく待つのが嫌いなビジネスオーナーは、次々と新しいものをリリースし続けているという印象を受けます。

制作側の視点からもう一点、リリースが遅くなるとそれだけ収益見込みも遅れるということなので、早くリリースしてしまう方がベターという考えもあります。

デマンドのあるうちに、やる気のあるうちに、Freshなうちに、細かいことは考えずにリリースしてしまおうというAppleマーケティング的発想、いかがでしょうか。

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